死に際にたむける本音
父がもうすぐ死にます。
そんな時、ただただ父を励ましたくて、
後悔の涙ばかり流す父に
「もういいんだよ」
「もう大丈夫だよ」
と、声をかけていました。
でも、ふと気づいたのです。
父とは10歳の時に別れました。
その後、母は苦労して兄と私を育てました。
私の結婚式には呼びましたが、バージョンロードは母と歩きました。
まだわだかまりがあったのです。
でも"過ぎ去ってしまったことはもういいのだ"と思おうとしました。
だけど、あることをきっかけに、私の中の子どもが暴れだしました。だから伝えたんです。
「私のことをもっと心配して欲しかった」
「私に何もかも押し付けないでよ」
父はそっと手を握って
「ごめんな」
と、言ってくれました。
私は子どもに戻ったように泣きました。
それは、本当"子どもに戻った"感覚でした。
きっと、10歳の私が心の中にいたに違いないのです。
それでも
「こんなこと言ってごめんね」
とも、伝えずにはいられませんでした。
最後の時が近いのに、こんな風に責めてしまっていいのか?と感じたからです。
だからこそ、今まで
「もういいんだよ」と父に伝えてました。
でも、よくなかったんだ。
父は謝る私に
「言ってくれてよかった。言っていいんだよ」
と、手を握って言ってくれました。
死に際にたむけるには、厳しい言葉だったかもしれない。だけど、受け止めてくれた父を見て、私は愛を取り戻しつつある。
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