父の遺言②
父との最後の2ヶ月は、私が生まれてから一番長く父と共に過ごした時間だったと思う。
子どもの頃に覚えているのは、父に怒られたことばかりだった。怖くてたまらない存在だった。
だから父に意見するなんてできなかった。
だけど私の中の悶々とする10歳児は、
最後に、本当の最後に、
「伝える」ことを選んだ。
私が自分の気持ちを伝えた時、父は
「言ってもいいんだよ」
と言ってくれた。
「言ってもいいんだよ」
それは、私が1番言って欲しい言葉だった。
子どもの頃から本音が言えなくて、
頭の中だけで会話が終わっていた私。
「言ってもいいんだよ」
は、40を過ぎた私が、1番しなくてはいけないことだった。
父が最後に教えてくれたこと。
気持ちを、言いたいことを、伝えること。
私が死ぬまでに、やるべきことだった。
聞いてくれてありがとう。お父さん。
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